約 1,800,934 件
https://w.atwiki.jp/gtav/pages/2742.html
危険物ガソリン缶 (Hazardous Jerry Can) 危険物ガソリン缶 (Hazardous Jerry Can)ステータス 概要 入手方法オフライン オンライン ゲーム内解説 ステータス Damage Fire Rate Accurcy Range 概要 その名の通り、ガソリンの代わりに危険物(化学物質)が入ったガソリン缶。 赤色であったガソリン缶とは対照的に、こちらは黄色を基調とした色合い。 使用方法は通常のガソリン缶と同じだが、流れ出た液体はガソリン缶のそれよりも遥かに黒いものとなっている。 またガソリンとは異なり、流れ出た液体に銃弾を撃ち込んでも発火しない。 この為、名前の割に全く(プレイヤーにとって)危険性が無い。 ダイヤモンドカジノ強盗の準備ミッション「メンテナンス業者の装備:Part2」にて使用される、実質的にこのミッションの為のみに用意されたアイテムである。 ミッション内にてカジノ屋上の壊れかけの空調設備の室外機から化学物質を流し込むことにより、配管を伝って電気系統を破壊。カジノ内に水漏れを発生させた。 これによりメンテナンス業者になりすましてカジノ強盗に臨むことができるようになる。 入手方法 オフライン 入手不可 オンライン ダイヤモンドカジノ強盗の準備ミッション「メンテナンス業者の装備:Part2」にて使用。 ゲーム内解説
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/882.html
未だに失神しているフーケを馬車の最後尾に乗せる。勿論彼女の杖はヘシ 折ってあった。彼女の足はギアッチョが未だに凍らせてあるが、そのくるぶし から下は見るも無残に砕けている。この有様では国中のスクウェアメイジが 集っても再生は不可能だろう。その惨状にルイズ達は少しフーケを哀れに 思ったが、彼女の所業を思い出してその感情を打ち消した。フーケは、今 キュルケが抱えているこの破壊の杖の使用法を知る為だけに自分達を おびき寄せ、そして使い方など知らないと解るや否や皆殺しにしようとした のである。おまけにその後も使用方法がわかるまでおびき出して皆殺しを 繰り返そうとしていたのだから、正に悪逆無道もここに極まれりといった ところだろう。その上、本来ならギアッチョは容赦なく彼女を全身凍結し あっさり粉砕していたはずだ。オールド・オスマンから生け捕りを指示されて いたからこそ、フーケは今生きていられるのである。両足の粉砕だけで 済んだのは、むしろ僥倖というべきであろう。――もっとも、どう考えても 彼女に死刑以外の判決が下されることはないだろうが。 そういえば、とタバサとキュルケに続いて馬車に乗り込んだルイズは 思った。先ほどギアッチョが珍しく驚いたような感情を露にして破壊の杖を 見ていた気がする。あの驚きようからすると、ひょっとして破壊の杖は 彼の世界の武器なのだろうか。そう思いながらまだ馬車の外にいる ギアッチョを見ると、彼はギーシュに声をかけているところだった。 「おい、ギーシュ」 後ろからギアッチョに呼ばれてギーシュは振り返った。 「なんだい・・・って 僕の名前・・・?」 感じた違和感の正体を口に出して、彼はギアッチョを見る。 「てめーもよォォ 助かったぜ ・・・そしてよくやった」 「・・・よくやった?僕が?」 面と向かって言われているにも関わらず、あのギアッチョが本当に自分に 言っているのか信じられずにギーシュはオウム返しに尋ねた。馬車の上で それを見ていたルイズ達は、思わず身を乗り出して話を聞いている。 「てめーのおかげでシルフィードに気付き・・・そしてあそこを突破できた」 ギアッチョはそう言ってギーシュを見据える。 「てめーの「覚悟」に敬意を表するぜ ギーシュ・ド・グラモン」 ギーシュはしばし呆然としたような表情でその言葉を噛み締めていたが、 やがてスッと姿勢を正すときびすを返して馬車に乗り込むギアッチョの 背中に向けて言葉を返した。 「ギアッチョ・・・君のおかげで僕は今ここにいる 君の全ての行動、 全ての言葉に僕は心から感謝を捧げよう!」 ギアッチョは何も答えなかったが、それでよかった。ギーシュは心の中で 彼にただ敬礼していた。 今度はちゃんと自分の横に座るギアッチョに気付いて、思わず顔が緩み かけたルイズは慌てて下を向いた。が、ルイズはそれと同時にしなければ ならないことも思い出していた。 ちらりと前に眼を遣る。ルイズの対面に座ったのはギーシュだった。 ルイズは口を開くが、言葉が出てこない。自分の為に命を賭けてくれた 彼らに謝らなければいけない、そして礼を言わなければならないのに。 自分のこんな性格を、彼らは理解しているだろう。だけどそれは逃避の 理由にはならないはずだ。拳を血が出そうなほど握り締めて、ルイズが 口を開こうと―― 「礼ならいらないよ」 その言葉に、ルイズは顔を上げてギーシュを見る。 「この世のあらゆる女性を守ることが僕の使命なのさ 僕はその使命を 果たしただけ 礼も謝罪もいらないのだよ」 その相変わらずキザったらしいセリフを受けて、デルフリンガーが言葉を 継いだ。 「俺もいらねーぜ そこの坊ちゃんじゃねーが俺も同じよ 誓いを果たした だけなのさ」 ギアッチョはギーシュとデルフリンガーを交互に見ると、やれやれと言った 顔で最後を締める。 「使い魔の仕事は主人の剣となり盾となることらしいからな・・・オレは 職務を忠実に遂行しただけってわけだ」 その言葉にギーシュがニヤッと笑い、喋る魔剣は陽気に笑った。ギアッチョは そのままルイズへ首を向けて言う。 「そういうわけだ・・・ おめーは黙ってその情けない顔を何とかしな」 そう言われて、ルイズは自分がまた泣き出しそうな顔をしていたことに気付き、 「・・・・・・うん・・・」 彼らへの無数の感謝を心に仕舞い、ルイズはまた顔を下げた。 キュルケはそんな彼らを少し羨ましげに見つめていたが、ふとあることに 思い当たって声を上げた。 「・・・そういえば、皆乗ってるけど誰が運転するのかしら?」 その声に皆が顔を見合わせる。一般的に、御者というのは平民の仕事である。 馬を駆ることはあっても、馬車の運転となればそれはまた違った技術が 必要になるのだった。馬に乗ったことすら数えるほどしかないギアッチョなどは 更に論外である。馬車を捨ててシルフィードに乗るしかないだろうか、と皆が 思案していた時、 「ならばその役目、僕が引き受けようじゃないか」 ギーシュが御者に名乗りを上げた。 「なぁに、こう見えても僕はグラモン家の男、馬車の御し方ぐらい多少の心得が あるのさ」 出来るんだろうなという皆の視線に余裕の表情で答えると、ギーシュは手綱を 握った。 そういうわけで今、一行を乗せた馬車は一路トリステイン魔法学院へと 向かっている。なるほど、ギーシュは確かに馬の御し方に「多少の」心得が あるようだった。あっちへふらふらこっちへふらふら、そのうち路傍の木に ぶつかるのではないかというぐらいテクニカルな運転をしてくれる。 一度などは横転しそうなほどに車体が傾き、「いい加減にしろマンモーニッ!」 とギアッチョに怒鳴られていた。呼び名が戻ってすこぶる落ち込んでいる 様子のギーシュに哀れむような視線を送ってから、キュルケは聞きたかった ことを尋ねることにした。 「・・・ねぇギアッチョ あなたって一体何者なの?」 「ああ?」 「あなたがただの平民じゃないなんてことは誰が見ても解るわ あなたの魔法は どう見ても私達のそれとは違うし・・・あなたはたまにまるで貴族なんてものが いない場所から来たかのような振る舞いをするもの 一体あなたは何者?そして 一体どこからやって来たの?」 キュルケはギアッチョを見つめる。ギーシュは聞き耳を立て、タバサも本を 閉じて彼を注視していた。 「生徒達の間で あなたがなんて呼ばれてるか知ってる?」 「・・・しらねーな」 ギアッチョの両目を覗き込んだまま、キュルケは続けた。 「『魔人』だそうよ」 「なるほどな」とギアッチョは薄く笑う。 「得体の知れない魔法を使う異端者は、貴族でも平民でもないってわけか」 ルイズは周りを見渡す。キュルケ達の眼は、依然一瞬たりとも外れること なくギアッチョに注がれていた。ルイズは最後に隣のギアッチョに顔を向け、 彼が深く黙考していることに気付いた。 ギーシュと決闘をした時、ギアッチョはキュルケに確かにこう言った。「オレが 何者なのか話してやってもいい」と。しかしそれはあくまでさっさと方法を 見つけてイタリアに帰るつもりだったからである。リゾットがどうなったか・・・ 恐らく既に決着がついている今、そしてギアッチョ自身の心が変化を始め、 彼とその周囲との関係が変わって来た今、簡単に自分の正体をバラしても いいものだろうか、と彼は考えている。ルイズは彼に、不穏分子は粛清される 可能性があると言った。キュルケ、タバサ、そしてギーシュ・・・ギアッチョは 彼らと幾度か行動を重ねて理解していた。こいつらはきっと、いつでもルイズの 味方になってくれるだろうと。しかし情報というものはどこから漏れるか解らない。 万一自分の身に何か起これば、自分に依存してしまっているルイズはきっと打ち のめされるだろう。そこまで考えて、ギアッチョは知らず知らずのうちにルイズの 心配をしていた自分に気付いた。バカかオレは、と彼は心中で毒づいたが―― 「・・・今度 話してやる」 結局どうしていいものか判断のつかないまま、彼は答えを先延ばしにした。 キュルケ達は、しかしそれでも満足していた。「今度」話してくれるというのだ。 「今度」、たった二文字の言葉だが・・・そこには様々な意味が込められて いる。今は話せないが、自分達はそれを話すに足る人物だと。いずれ話せる 時が来るまで待っていろと。彼女達は、それで満足だった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1059.html
峡谷の山道に作られた小さな港町、ラ・ロシェール。その酒場は今、内戦状態のアルビオンから帰って来た傭兵達で溢れ返っていた。 「がっははははは!アルビオンの王さまももうおしまいだな!」 「いやはや・・・『共和制』ってヤツが始まる世界なのかも知れないな」 「そんじゃあ『共和制』に乾杯だ!」 そう言って野卑な声で笑う彼らが組していたのは、アルビオンの王党派だった。 雇い主の敗北が決定的になった瞬間、彼らは王党派に見切りをつけてあっさり逃げ帰ってきた。別段恥じる行為ではない。金の為に傭兵をやっているのだから、敗軍に付き合って全滅するほど馬鹿らしいことはないということである。 ひとしきり乾杯が終わった時、軋んだ音を立ててはね扉が開いた。フードを目深に被った女が車輪のついた椅子に座っており、白い仮面で顔を隠した貴族の男がそれを押しながら入ってくる。 真円に可能な限り近づけようと苦心した跡が見てとれるその車輪はしかし急ごしらえの為に満足な丸さを持てず、回転する度に耳障りな音を立てて車体を揺らした。女はローブに隠れる己の足を見下ろし、忌々しげに舌打ちする。 「不便ったらありゃしないね・・・この車椅子とやらは」 「そう言うな、お前の為に急いで作らせたものなのだからな」 仮面の男はそう言って車椅子を止めると、珍しいものを見て固まっている傭兵達に向き直った。 「貴様ら、傭兵だな」 その言葉と同時に、返事も確認せずに金貨の詰まった袋をドンとテーブルに置く。 「先ほどの会話からすると、貴様らは王党派に組していたようだが?」 あっけに取られていた傭兵達は、その一言で我に返った。 「・・・先月まではね」 「でも、負けるようなやつぁ主人じゃねえや」 そう言って傭兵達はげらげらと笑う。口を半月に歪めて、仮面の男も笑った。 「金は言い値を払う だが俺は甘っちょろい王さまじゃない・・・逃げたら、殺す」 「ワルド・・・ちょっとペースが速くない?」 抱かれるような格好でワルドの前に跨るルイズが言う。ワルドがそうしてくれと言ったせいもあって、雑談を交わすうちにルイズの口調は昔の丁寧な言い方から今の口調に変わっていた。 「ギアッチョは疲れてるわ 馬に乗り慣れていないの」 その言葉にワルドは後方を見遣る。血走った眼で馬を駆るギアッチョの身体からは漆黒の怒気が漂っていた。今にも馬を絞め殺さんばかりの勢いである。 「・・・何やら怒っているようにしか見えないが」 「疲れた結果よ!あいつは怒りやすいんだから」 ふむ、と言ってワルドはその立派な口髭を片手でいじる。 「ラ・ロシェールの港町まで止まらずに行くつもりだったんだが・・・」 「何言ってるの、普通は馬で二日はかかる距離なのよ」 「へばったら置いていけばいいさ」 当然のように言うワルドに、「ダメよ!」とルイズが反論する。 「どうして?」 「使い魔を置いていくなんてメイジのすることじゃないわ それにギアッチョは凄く強いんだから!」 ワルドはそれを聞いてふっと笑う。 「やけに彼の肩を持つね・・・ひょっとして君の恋人なのかい?」 「なっ・・・!」 その言葉にルイズの顔が真っ赤に染まり、 「そそ、そんなわけないじゃない!ああもう、姫さまもあなたもどうしてそんなことを言うのかしら」 なんだか顔を見られるのが恥ずかしくなって、ルイズは綺麗な髪を揺らして俯いた。 「そうか、ならよかった 婚約者に恋人がいるなんて聞いたらショックで死んでしまうからね」 そう言いながらも、ワルドの顔は笑っている。 「こ、婚約なんて親が決めたことじゃない」 「おや?ルイズ、僕の小さなルイズ!君は僕のことが嫌いになったのかい?」 昔と同じおどけた口調でそういうワルドに、「もう小さくないもの」とルイズは頬をふくらませた。 「・・・ところで、彼はそんなに強いのかな?」 「勿論よ 私の自慢の使い魔なんだから! 詳しくは話せないけど・・・」 ワルドの質問に自慢げにそう答えるルイズを見て、ワルドは何かを考える顔をした。 疲労と怒りをこらえながら、ギアッチョは馬を駆る。朝からもう二回も馬を交換していた。 さっきからルイズが何回か心配そうにこちらを見ていたが、ギアッチョは休憩させてくれなどと言うつもりは微塵もない。 そんな情けないことはギアッチョのプライドが受け入れなかった。十四歳――とギアッチョは思っている――の子供にこんなことで心配されたという事実がその意地を更に強固にしている。 ――ナメんじゃねーぞヒゲ野郎・・・ついて行ってやろうじゃあねーか ええ?オイ 口から呼気と共に殺気を吐き出しながら、ギアッチョはそう呟いた。 このまま放っておけば自分に累が及びそうだったので、デルフリンガーは彼の怒りを逸らすべく口を開く。 「あ、あのですねーダンナ・・・」 「ああ!?」 「ヒィィすいません!」 熊も射殺さんばかりのギアッチョの眼光にデルフリンガーは一瞬で押し黙ったが、気持ち悪いから途中で止めるなというギアッチョのもっともな発言を受けて恐る恐る話題を再開した。 「い、いやー・・・ルイズの婚約者らしいッスねぇあのヒゲ男」 「そうだな」 「そ、そうだなって・・・なんかないんスか?結婚ですよ結婚」 ギアッチョの意識をなんとか婚姻の話題に持って行こうとしたデルフだったが、彼の「ああ?」という一言で全てを諦めた。 何度も馬を変えて昼夜を問わず飛ばし、ギアッチョ達はその日のうちに――といっても夜中だが――なんとかラ・ロシェールの入り口まで辿り着いた。 「・・・なんだァァ?ここのどこが港町なんだオイ?」 ギアッチョは周りを見渡して言う。四方八方を岩に囲まれた、まごうこと無き山道であった。 月明かりに照らされて、先のほうに岩を穿って作られた建物が立ち並んでいるのが見える。まだ走らせる気かと、いい加減ギアッチョの怒りが限界に達しつつあった。 「ああ、ダンナはしらねーのか アルビオンってのは」 と喋る魔剣が口を開いた瞬間、崖の上から彼ら目掛けて燃え盛る松明が次々と投げ込まれ、 「うおおッ!」 戦闘の訓練をされていないギアッチョの馬は、驚きの余り暴れ狂ってギアッチョを振り落とした。 よく耐えたと言うべきか。一昼夜を休み無く走らされた挙句に馬上から振り落とされて、ギアッチョの怒りは頂点に達した。 デルフリンガーを引っつかんで鞘から乱暴に抜き出し、崖上に姿を現した男達を猛禽のような眼で睨んで怒鳴る。 「一人残らず凍結して左から順にブチ割ってやるッ!!!ホワイト・アルバ――」 しかし彼の咆哮は予想だにしない咆哮からの攻撃で中断され、彼の口からは代わりにもがッ!!というくぐもった声が響いた。 「どういうつもりだクソガキッ!!」 己の口に押し当てられた手を引き剥がしてギアッチョが怒鳴る。ギアッチョに飛びついて彼の攻撃を中断させたのは、他でもない彼のご主人様であった。 「それはこっちのセリフよ!」 ギアッチョに負けじとルイズが怒鳴る。 「見たとこ夜盗か山賊の類じゃない!こんなところで堂々とスタンドをお披露目してどうするのよッ!」 「ンなこたぁもうどうでもいいんだよッ!!離れてろチビ!!一人残らずブッ殺してやらねーと気が済まねぇッ!!」 ブッ殺したなら使ってもいいッ!とペッシに説教しているプロシュートの姿が浮かんだが、ギアッチョはいっそ爽やかなほど自然にそれをスルーした。 「だっ、誰がチビよこのバカ眼鏡!あと1年もしたらもっともっと大きくなるんだから!」 どこが?と言いたかったデルフリンガーだったが、二人の剣幕に巻き込まれると五体満足では済みそうになかったので黙っておくことにする。 「とにかく!」とルイズは小声になって怒鳴る。 「ワルドはわたしの婚約者だけど、同時に王宮に仕えてるってことを忘れないでよ! そんなことしないとは思うけど・・・万が一王宮にあんたのスタンドのことがバレたらどうなるか分かったもんじゃないんだから!」 「そうなってもよォォォ~~~~ 全員凍らせて逃げりゃあいいだろうが!!キュルケだのタバサの国によォォォォ!とにかく邪魔するんじゃあねえ!!そこをどけッ!!」 「何無茶苦茶言ってるのよ!あんたの責任は私にも及んでくるんだからね!! 勝手な行動は許さないんだから!!」 再び大音量で怒鳴る二人を不思議そうな眼で眺めながら、ワルドは小型の竜巻で飛んでくる矢を弾き逸らす。そうしておいて、ワルドは攻撃の為の詠唱を始めた。 このままではワルドに全部持っていかれてしまうと気付き、ギアッチョはちょっとルイズを眠らせてしまおうかと考えたが―― ばさりというどこか覚えのある羽音が聞こえ、ギアッチョ達は上を見上げた。 直後男達の悲鳴が聞こえ、それと同時に彼らは次々に崖下に転落する。 「あれ・・・シルフィード!?」 ルイズ達の驚きにきゅいきゅいという声で答え、シルフィードとその上に乗った三人――キュルケとタバサ、それにギーシュが降りてきた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1409.html
「桟橋」の階段の先は、一本の巨大な枝に続いている。そこに吊り下げ られている船の甲板にワルドとルイズはいた。ギアッチョは左手に デルフリンガーを握ると、昇降の為に備えられているタラップに眼も くれずそのまま甲板に飛び降りる。着地の衝撃が身体を揺らすが、 「ガンダールヴ」の力はギアッチョにまるで痛みを感じさせなかった。 「便利なもんだな」と呟きながら剣を仕舞う。ワルドに視線を遣ると、 彼は遅いぞと言わんばかりの眼をこちらに向けていた。 「交渉は成功してるんだろーな」 「勿論」 ワルドは杖の先で羽根帽子のつばをついと押し上げ、舳先の方で 船員達に指示を出していた船長に声をかけた。 「船長、もう結構だ 出してくれたまえ」 船長は小ずるい笑みでワルドに一礼すると、船員達に向き直って怒鳴る。 「出港だ!もやいを放て!帆を打て!」 がくんという衝撃と共に船が浮き上がる。ギアッチョは舷側に乗り出して、 興味深そうに地上を見下ろした。ルイズの話では、船体に内臓された 「風石」とやらの力で宙に浮かんでいるのだという。徐々に速度を増して 遠ざかってゆくラ・ロシェールの明かりを眺めて、ギアッチョはキュルケ達の ことを考えた。あの三人とシルフィードなら、引き際を誤らなければ死ぬ ことはないだろう。しかしそう思いつつも、意思に反して彼の心はどこか ざわついている。今日何度目かの舌打ちをして、ギアッチョは去り行く港の 灯りから眼を離した。ボスを裏切って7人散り散りに別れたあの日以来、 こんな気分になることはもうないと思っていた。 どうしてこんな気持ちになる?彼女達が死んだところで自分にどんな不都合が あるというのだろう。暗殺者という軛を外れた彼が否応なく人としての心を 取り戻しつつあることに、ギアッチョは気付けない。 「クソ・・・気分が悪ィ・・・」 自由な片腕で欄干にもたれたまま、ギアッチョは不機嫌な顔で眼を閉じた。 包帯と軟膏を持って、ルイズは少し釈然としない顔で船室から甲板へ戻って きた。怪我人がいるから譲って欲しいと船長に頼んだのだが、薬は高いし 船の上では補充も効かないと言われて二倍以上の金額で買わされたのだった。 しかしまぁそれも仕方ないかなとルイズは思う。身近な国で戦争が起こっている このご時世、平民からすれば少しでも金は欲しいのだろうし、包帯や薬は アルビオンに輸出されて品薄になっているのかも知れない。船長ならちゃんと 船員に金を分け与えるだろうし、貴族としてこのくらいの支出はしなければ。 等と素直に考えている辺り、ルイズはまだまだ純粋な少女であった。 欄干にもたれているギアッチョの元へ、ルイズは足早に歩いて行く。 マストの下で、ワルドと船長が何事か話していた。「攻囲されて・・・」だの 「苦戦中・・・」だのという言葉が聞こえてくる。やはり戦況は芳しくないようだ。 どうやら手紙の所持者、ウェールズ皇太子はまだ生きて戦い続けてはいる らしい。しかしアルビオンの王党派は、もはやいつ全滅してもおかしくない 瀬戸際にいるという。脳裏をよぎった最悪の可能性に首を振って、ルイズは ギアッチョの元へ逃げるように駆け出した。 「左手、出して」 「ああ?」 後ろからかけられた言葉に、ギアッチョは気だるげに振り向く。両手に 包帯と軟膏を抱えてルイズが立っていた。 「包帯巻くのよ」 「・・・オレをミイラ男にでもする気かてめーは」 ギアッチョはじろりと包帯を見る。どっさりと抱えられたそれは、彼女のか細い 両腕から今にも転がり落ちそうだ。 「う・・・あ、明日の分もいるでしょ!そ、それに交換もしなきゃいけないし・・・ あと、えーと・・・・・・ああもう!とにかく左手出しなさいよ!」 「そこに置いとけ 包帯ぐらいてめーで巻ける」 どうでもいいようにそう言って、ギアッチョは再び空に顔を戻した。 ルイズは少しムッとする。わざわざそんな言い方をしなくてもいいではないか。 「左手出しなさいってば!」 ルイズは意固地になって繰り返す。 「てめーで巻けるって言ってるだろーが」 「自分じゃ巻きにくいじゃない!巻いてあげるって言ってるんだから大人しく 聞きなさいよ!」 「いらねーってのが分からねーのかてめーは いいからそこに置け」 「あんたこそ出せって言うのが分からないの!?いいから出しなさい!」 絶対巻いてやるんだから!と躍起になるルイズと全く巻かせる気のない ギアッチョは、一進も一退もしない攻防を続ける。無表情で拒否を繰り返す ギアッチョにいい加減疲れてきたルイズは、はぁと溜息をついて尋ねた。 「もう・・・どうしてそんな意地になるのよ」 借りを作るのは面倒の元だ、と言おうとしてギアッチョはハッとする。 ここはそういう世界ではないのだ。そしてルイズはそんな人間ではない。 進んで手当てをしておいて貸しを作ったなどと、考えすらしないだろう。しかし。 「・・・な、何よ」 ギアッチョはじろりとルイズを見る。 彼にも矜持というものがある。大の男が年端もゆかぬ――しつこいようだが ギアッチョはそう思い込んでいる――少女に包帯を巻かれる等という状況は とても容認出来るものではなかった。そんなギアッチョの心境を感じ取ったのか どうなのか、 「分かったわ・・・じゃあこうしましょう あんたが包帯巻くのをわたしが手伝うわ」 ルイズはそう言って、まるで名案でも思いついたかのようにえっへんと残念な 胸を張った。その拍子に次々と包帯が甲板に落ちて、ルイズは慌ててそれを 拾い集める。そんなルイズを見下ろして、ギアッチョはしょーがねーなと考えた。 借りがどうだと言うのなら、そもそも命を助けられた時点でこれ以上ない借りを 作っているのだ。借りを返すということで我慢してやることにして、ギアッチョは あくまで投げやりに口を開いた。 「・・・勝手にしろ」 「――ッ!」 ギアッチョの左腕を捲り上げて、ルイズは息を呑んだ。仮面の男の雷撃に よって、ギアッチョの左腕は見るも無残に焼け爛れていた。 「ひどい・・・」 ルイズは思わず声を上げるが、 「この程度で騒ぐんじゃあねー」 ギアッチョはことも無げにそう言って、ルイズの腕の中の包帯と軟膏を一つ 無造作に掴み取った。それらをポケットに突っ込むと、ショックを受けている ルイズを放置して船室へと入って行く。船員に言って水を貰い、痛みをこらえて 傷口を洗い流し軟膏を塗りつける。それから包帯を取り上げると、右手と口で 器用にそれを巻いていく。半分ほど巻き終わったところで、 「ひ、一人で何やってんのよあんたはーーーっ!」 ようやく正気を取り戻したルイズが飛び込んで来た。 「も、もうこんなに巻いてるじゃない!わたしも手伝うって言ったでしょ!?」 「だから勝手にしろって言っただろーが 来なかったのはおめーの勝手だ」 しれっと言ってのけるギアッチョに、ルイズの肩がふるふると震える。これは キレたか?と思ったギアッチョだったが、 「・・・何よ 手当てぐらいさせなさいよ・・・」 ルイズの口から出てきたのは、実に弱弱しい言葉だった。少し眼を伏せた 格好で、ルイズは殆ど呟くような声で言う。 「・・・姫様に頼まれたのはわたしなのに、わたしだけが何も出来ないなんて 最低よ・・・ あんたもワルドも、キュルケ達まで戦ってるのにわたしは何も 出来ずに見てるだけなんて、こんなのメイジのやることじゃないわ・・・ 挙句にわたしを庇ってこんな大怪我までされて・・・せめて手当てぐらい しなきゃ、わたし・・・!」 ルイズの言葉は、彼女の悔しさと申し訳なさを如実に物語っていた。 ギアッチョは改めてルイズを見る。俯いて立ち尽くすルイズの拳は、痛い ほどに握り締められていた。 「主人を庇うのが使い魔の仕事なんだろーが」 包帯を巻く手を休めてギアッチョは言うが、その言葉はルイズの傷をえぐる だけだった。 「そうだけど・・・そうだけど違うもん 使い魔だけど、あんたは人間だもん ・・・何よ 何でも出来るからって、どれもこれも一人でやらないでよ・・・ 一つくらい、主人らしいことさせてよ・・・」 ここまで深刻に悩んでいるとは思わなかった。ギアッチョはがしがしと頭を掻く。 ルイズはこう見えて責任感が強い。何も出来ずただ守られているだけの自分を、 彼女は許せないのだろう。 「・・・てめーでやれることをすりゃあいいんだ 拗ねることじゃあねーだろ」 「・・・拗ねてなんかないもん 使い魔の前で拗ねる主人なんていないもん」 拗ねながら落ち込むという若干高度なテクニックを披露するルイズに軽い 頭痛を感じたが、しかし一方でギアッチョにはルイズの無力感が痛いほどよく 分かる。フーケ戦で己の無力を痛感したギアッチョに、今のルイズはどうしても 捨て置けなかった。 自分を誤魔化すようにはぁと溜息をつくと、彼は左手をルイズに突き出した。 「・・・片手でやるのはもう疲れた 後はおめーがやれ 一度やると言ったんだからな、嫌だと言っても巻いてもらうぜ」 その言葉に、ルイズの顔が一瞬ぱぁっと明るくなる。それに気付いてルイズは ぷいっと怒ったように顔を背けて答えた。 「い、言われなくたってやってあげるわよ!しょうがないけど、言ったことは やらなきゃダメだもの ご主人様が直々に手当てしてあげるんだから、 かか、感謝しなさいよね!」 誰が見ても照れ隠しと分かる顔で早口にそう言って、ルイズはギアッチョの 右手から包帯の端をひったくった。手持ち無沙汰になったギアッチョはフンと 鼻を鳴らして眼鏡を押し上げると、何をするでもなく黙り込んだ。 まるで白磁のような手で、ルイズは包帯を巻いてゆく。未だに燃えているかと 錯覚するほどに熱い腕を、その冷たい指で冷ましながら。 たどたどしい手つきではあるが、出来うる限り優しく丁寧に巻こうと苦心している ことが十二分に伝わってくる。良くも悪くも、真っ直ぐな少女だった。 一心不乱に包帯と戦っているルイズを見下ろして、ギアッチョはふと思う。 ペッシを見守るプロシュートは、こんな感じだったのだろうかと。もっとも、 ペッシとルイズの容姿には本当に同じ人間同士かというほどの差はあるのだが。 「おめーも物好きな野郎だな」などと冗談交じりに話していたことを思い出す。 しかしあいつの気持ちが、今なら少し――本当にほんの少しだが、分かるかも 知れない。そのうち地獄でプロシュートに会ったら、「オレもヤキが回ったもんだ」 と言ってやろうかとギアッチョは思う。しかし少なくとも、手紙を回収するまでは そっちには行けそうにない。ならば当面はプロシュートに学ぼうかと彼は考えて みた。あんな時こんな時、あいつはどう説教していただろうか、どうフォローして いただろうか。「何でオレはこんなことをバカみてーに考えてんだ」と心中毒づき ながらも、ギアッチョはプロシュートの偉大さを痛感した。ギアッチョが覚えている だけでも、プロシュートは結構な回数ペッシをブン殴っていた。にも関わらず、 ペッシはプロシュートを変わらず「兄貴」と慕っていたのである。 ――カリスマってヤツか? いや、それはリゾットだろうか。まあどの道、とギアッチョは結考える。どの道 自分にプロシュートのような真似は出来ない。特に額に額を当てる彼の得意技 など、ギアッチョがやれば恫喝にしか見えないだろう。 オレはオレで適当にやらせてもらうとしようと結論づけて、ギアッチョは己の 左腕に眼を落とす。包帯は既にその大部分を包んでいた。 ついでにプロシュートはこの状況ならどうするだろうかと考えてみる。 「『手当てした』なら使ってもいいッ!」と真顔で言うプロシュートが何故か思い 浮かんで、ギアッチョは思わず口の端がつり上がった。そんなギアッチョと偶然 眼が合って、彼の笑みをどう解釈したものか、ルイズは少し顔を赤らめて眼を 逸らした。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/416.html
「このギアッチョによォォ~ 容赦しねェだと?ええ?おい やってみろクソガキがッ!!」 とは言え、男―ギアッチョには最初からフルパワーで行く気はなかった。よってたかってピンク頭に野次を投げかけていたガキ共は、ギアッチョの凍てつかんばかりの殺気に恐れをなして蜘蛛の子を散らすように我先に逃げ出していたし、年齢から考えて教師であると思われるハゲ野郎は仲間を呼びに行ったのかもうこの場にいない。ちなみに当のピンク頭は彼の下で腰を抜かしている。 ―そのオレに恐れることなく立ち向かってくるガキ・・・どうやらこいつが筆頭格の強さを持っていると理解していいようだ―ギアッチョはそう考えた。こいつをブッ倒し、奴らの戦意を喪失させてからここを出る。なかなかいい作戦じゃあねえかおい。 「今ここでオレのジェントリー・ウィープスを全開にすればこの中庭を丸ごと凍らせるのはたやすい・・・しかし逃げ出したガキ共にそいつを見られると面倒なことになりそうだからなァァ~~」 「何をぶつぶつ言ってるのよ!くらいなさいッ!」 キュルケが言い放ちざま大型の火弾を打ち出すが、ギアッチョはそれを意にも解さずキュルケに向かって歩き出す―氷でシールドを作ることもせずに。その余裕ぶりにキュルケはカチンときたが、「いいわ、ナメているのならそのまま燃え尽きればいい」と思いなおした。2・・・1・・・着弾ッ!! バシュウゥウゥウッ!! 「なッ・・・!!」 しかし火弾はギアッチョに当たる寸前、大量の水をブッかけられたかのような音を立てて「消え去った」!! 「そんな 嘘でしょ・・・!?」 眼前の出来事を信じられないキュルケは2発、3発と火弾を放つ。しかしまぐれであれという彼女の 願いも虚しく、彼に撃ち出された火弾はその全てが直撃寸前に消滅するッ! ギアッチョは歩き続ける。氷のように冷たい眼でキュルケを見据えて。 「炎ってよォォ~~・・・」 ザッ・・・ザッ・・・ 「一般的には火が激しくなったものを言うんだが・・・」 ザッ・・・ザッ・・・ 「実際に火が激しいはずの単語には炎じゃなくて火が使われることが多い」 ザッ・・・ザッ・・・ 「噴火だとか火柱だとかよォー・・・ 」 ザッ・・・ザッ・・・ 「なんで噴炎って言わねぇーんだよォォオオォオーーーッ それって納得いくかァ~~おい?」 ザッ・・・!ザッ・・・! 「オレはぜーんぜん納得いかねえ・・・」 ザッ・・・!! 「な・・・何なの・・・こいつ・・・」 キュルケはもはや完全に敵に呑まれていた。ギアッチョがついに目の前までやってきたというのに―構えることすら出来なかった。そして。 バキャァアアッ!! 「なめてんのかァーーーーッこのオレをッ!!炎を使え炎を!チクショオーーームカつくんだよ! コケにしやがって!ボケがッ!!」 キュルケは宙を舞った。 「うぐっ・・・い・・・痛ッ・・・ フフ・・・だけどおかげで眼が覚めたわ 今よフレイムッ!!」 「ムッ!?」 どこからか現れた化け物が―実際にはギアッチョの眼に入っていなかっただけだが―彼に向かって火炎を吐き出す!しかしそれも彼に当たる直前にことごとく消え去ってゆく。「・・・まだ理解しねーのか?え?おい 隙を突こうが無駄なんだよッ・・・・・・」 そこまで言ったところでギアッチョは気付いた。今火を噴いた化け物の存在に。 「・・・なんだァ~?こいつがてめーのスタンドってわけか・・・?」 とは言ってみたが・・・どう見てもこれは「ビジョン」ではない。実体である。 ―いや・・・そういうスタンドがあってもおかしかねー・・・世の中にゃ無生物に命を与える スタンドもいるくれーだからな・・・―ギアッチョはそう思いなおすとキュルケに眼を戻し、 「こいつでブチ割れなッ!!」 直触りを発動しようとしたその時。 ドゴォッ!! 「うぐぉおぉッ!?」 上空からギアッチョに空気の塊のようなものが撃ちつけられた! 「タバサ!」 キュルケが日の落ちかけた空に向かって叫んでいる。 「ナメやがって・・・上かァーーッ!?」 ギアッチョが見上げた空には。 バサッ これまたどう見ても実体の― 「ドラゴン・・・?」 ―それに乗ってこっちを見下ろしている少女。そして何より彼女の後ろに二つの月が 「・・・なんだ・・・ありゃ・・・」 二つの、月が。 ―ここはトリステイン王国の― 「マジで・・・別世界だってェのか?」 流石のギアッチョも呆然とせざるを得なかった。 ルイズはじりじりとギアッチョに近づいていた。正直自分が何かの役に立つとは思えなかったが、因縁の相手のはずの自分を体を張って助けてくれたキュルケを見殺しになど出来なかったのだ。キュルケは「とっとと逃げなさいよゼロ!」と必死に眼で語っているが、そこは妙な意地を張らせたらトリステイン一のルイズである。聞き入れるわけがなかった。 一方ギアッチョは―静かに沸騰していた。 ここが花京院もビックリのファンタジー世界だとほとんど確定してしまった以上、とりあえずは武器を収めて情報の収集にかかるのが最善手だろう。しかしギアッチョに売られた喧嘩を見過ごす選択などあるはずがない。 「後のことは・・・てめーらをブッ倒してから考えるッ!!そっちが空中にいるってんならよォォ~~ ちょっとだけ本気をださせてもらうぜェェェー!!」 ギアッチョの足元が凄まじい速度で凍っていく。それはギアッチョの靴を覆い足首を覆い・・・ルイズは眼を疑ったが、どうやら氷のスーツを形成しようとしているらしい。 ―マズいッ!! 少女は遅まきながら確信した。何だかよく分からないがこいつの魔法はヤバい!この氷の発生速度、スーツを形成する精密さ、何よりそれが無詠唱で行われているということ!更にこの殺人をも厭わない覚悟!どこまで暴れるつもりか知らないが・・・死人は出る!絶対にッ!そしてそれを阻止するチャンスは今ッ、このスーツが完全に形成されるまでの間しかないことを! ルイズは反射的に動いていた。反射的に―だが決死の覚悟で、ギアッチョに飛び掛ったッ!完全にタバサに気を取られていたギアッチョは一瞬反応が遅れ、そして―ルイズの殆ど頭突きのようなキスをまともに「食らい」、頭からブッ倒れた! 「ガフッ!!てめー何をしやがったァァ~~!?毒か!?スタンド・・・いや魔法かッ!?」 ギアッチョとは逆方向にブッ倒れたルイズは、よろよろと立ち上がりながら告げた。 「・・・契約よ・・・!」 「・・・ああ?どういう事だッ!ナメやがって クソッ!・・・・・・ぐッ!!?」 ギアッチョの左手が光り始め、 「っづぁああぁああぁあああああッ!!!」 その甲にルーンが浮かび上がったッ! こいつを説得するなら今しかない!ルイズはギアッチョの前に仁王立ちになる。 「聞きなさい!あなたがどれだけ強いか知らないけどここには300のドラゴンを一人で倒した 偉大な学院長や太陽拳を使える先生がいるのよ!これ以上騒ぎを起こせば先生方は 黙ってないわ!万一囲いを破って逃げ出せたとしてもあなたみたいな危険人物は四六時中追っ手に追われ続けるわよ!悪魔の軍団を一人で倒せるような追っ手達にね!」 半分以上は今適当にでっちあげた話だったが、 「・・・」 ギアッチョには思いのほか効果があったようだった。ルイズは疑われる前に話を進める ことにする。 「ま、貴族を3人も殺そうとしたんだから今のままでもまず終身刑は免れないわね ちなみにあなたが入るのは水族館と呼ばれる脱獄不能の監獄よ!」 これもデタラメである。 「・・・で、てめーはオレにそれを聞かせてどうしようってんだ?え?おい」 食いついたっ!ルイズは心中でガッツポーズをした。 「話は最後まで聞きなさいよ あなたが罪を問われない方法が一つだけあるわ・・・ 私の使い魔になることよ!」 「・・・・・・一応聞いとくが・・・そのツカイマってのは何なんだ」 「主の剣となり盾となるものよ」 「・・・・・・」 一瞬の逡巡の後、ギアッチョは舌打ちをしながらもルイズに答えた。 「まぁいいだろう・・・この世界のことがわかるまではここにいるのも悪い選択じゃあねぇ」 実際は一度使い魔になってしまえば死ぬまで契約は執行されるのだが―今それを 言うとこいつはまたブチ切れるだろうと思ったのでルイズはとりあえず黙っておくことにした。 ←To Be Continued・・・ 前へ 戻る 次へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/60.html
そうしているうちに、コルベールが戻ってきた。そして、その後ろに続く二つの人影。 『微熱』のキュルケと、『雪風』のタバサであった。 先程のパニックの折、混乱する生徒達の中で彼女達だけは自分を保っていたのをルイズは見ていた。 恐らく自分と同じくこの死体の奇妙さに気づいたのであろうその2人がこの場に来るのは不思議ではなかった。 内心そう思いながらも、キュルケが嫌いなルイズは、突っかからずにはいられなかった。 「ツェルプストー、何か用?」 宿命のライバルを前に、自然とルイズはいらだった口調になった。 そんなルイズの態度をうけながし、キュルケは杖をいじくりながら飄々と答えた。 「べっつに~。用なんか無いわよ、あんたには。あるとすれば、そこに転がってる身元不明の死体に、かしら?」 「なによ、ハッキリしなさいよ!」 キュルケの微妙に的を得ない回答に、ルイズの方が痺れを切らした形となった。 キュルケはいかにも『呆れた』といった表情を浮かべた。 タバサの方は、さっきからずっと黙って、杖を抱えたままだ。 「だから、契約よ! するの? その死体と」 「……あっ」 キュルケの言葉にルイズはハッとした。 さっきまでの、自分をどこかに置き去りにして来たような感覚は消えていた。 そうだった。 このバラバラ死体がどうしてこの場に呼び出されたのかルイズはすっかり忘れていた。 自分はこれから一生をともにする使い魔を呼び出すために、このサモン・サーヴァントに臨んだのだった。 万全を期して。 そうして呼び出されたのが目の前にデンと横たわる、身元不明の死体だったというわけだ。 つまり………… ということは……… この理屈から言うと……… ルイズの思考が最悪の未来を脳裏に描き出した。 「こ、こ、これと契約しろっての~!? 無、無理よ! 無理無理! ぜぇったいいや!」 ルイズは半狂乱になって無理無理無理と繰り返した。 契約するということはつまりキスをするということだ。 そこの死体と。 ルイズは、今初めて自分がとんでもない状況にあることに気がついた。 チラリと死体を見る。 割られたスイカと目があった気がした。 ぶるっと身震い。 シャレにならない…… ルイズはコルベールに助けを求めることにした。 「ミスタ・コルベール! 召喚のやり直しを希望します!」 割と切実なルイズの声が広場に響いた。 何が好きで死体にファーストキスを捧げなければならないのか……ルイズは最早半泣きだった。 己の不幸を強く呪うとともに、どうしてコルベールだけでなく、キュルケとタバサもこの場にきたのか、ルイズは悟った。 以前から、サモン・サーヴァントは伝統に基づく神聖な儀式であり、召喚のやり直し等は不可能である旨は、目の前にいるコルベールから耳にタコができるほど聞かされている。 今更彼が、自分の言葉を覆すとはとうてい思えなかった。 つまり、彼らは否が応でも私に契約をさせるつもりで、キュルケとタバサは、自分が契約を拒否した場合に、無理矢理ふんじばって契約させるためにいるのだ――――――ルイズは確信した。 確信した瞬間にルイズは三人に向かって杖を構えた。 ど、どいつから来るの……!? わ、私は後、何回契約させられるの……!? 「私に近寄るなぁあああ!!!!」 ルイズは腹の底から叫んだ。 親の仇でも見るかのような、鬼気迫る表情に、流石の三人も気圧された。いつも冷静なタバサすら、身を固くしてルイズを見守っていた。 妙な誤解をしているようだ……と、三人は感じた。 そして、おそらくは誤解の原因であろうキュルケが、恐る恐る話しかけた。 「あのね、ルイズ。変な勘違いしてるみたいだけど、まったくの誤解よ。あんたをどうこうする気は…「嘘だッ!!!!」 必死の弁明はしかし、ルイズの叫びに遮られた。 これは重症だ。 このままだと奇妙奇天烈な怪奇事件に発展しそうだったので、キュルケに変わってコルベールが説明に入った。 「ミス・ツェルプストーの言っていることは本当ですよ。ミス・ヴァリエール。私たちはあなたをどうこうしようというつもりは全くありません。落ち着いてください。」 「…………」 「落ち着いて、ください。落ち着くのです」 「…………」 ルイズが杖を下ろす。 やはり亀の甲より年の功か、今度は説得が通じたようだ。 取りあえず惨劇は回避されたらしい。 三人は肩の力を抜いた。そのままの勢いでコルベールが話を続ける。 「私もこんな事例は初めてで、少々面食らっています。このまま契約をあなたに強制するのも酷というものでしょう。よって私はあなたに選択肢を与えようと思います。 ①覚悟を決めてこのまま契約を行う ②今回の召喚はなかったことにして、死体を内々に処理。一年間留年の後、再び再召喚 (③無理矢理契約。現実とコルベールは非情である) 選ぶのはあなたです、ミス・ヴァリエール。あくまであなたの意志で選んでください」 意図せずして、責任をすべてルイズにまる投げする形になったことに、キュルケは不快感を感じたが、どうしようもなかったのでだんまりを決め込んだ。 ルイズは、コルベールのセリフに最初は期待したが、最後にあんまりな二択を突きつけられて目の前が真っ暗になった。 契約か、留年か…… おおよその貴族のご多分に漏れずプライドの高いルイズにとって、留年など、屈辱以外の何物でもなかった。 それならば我慢してこの死体と契約した方が、いくらかマシなのでは……チラッと、死体を見る。こんどは、ちぎれた左腕が自分に向かって手を振っているように見えた。 ――――――留年もアリかな、とルイズは考え直した。 しかしルイズの脳裏に、家族の顔、そして大好きなカトレアの顔が浮かんだ。 これまで自分が魔法を使えないせいで、何度家族に迷惑を掛けてきたことか…… 自分が留年することで、これ以上大好きな家族に迷惑をかけることは、とてもルイズには出来なかった。 それに、やはりこの死体は、ただものではない。その考えは、自分の中で確信にまでなっていた。何かとんでもない秘密があるに違いない……ならば、それに賭けてみるべきではないか……? 暫く考えた後、ルイズはとうとうハラを決めた。 「ミスタ・コルベール」 「決断しましたか…?」 コルベールが自分の目を見て問う。 ルイズもまた、コルベールの目を正面から見返した。自分で出した結論に自信を持たなくて、何が貴族だろうか。 これから起こるすべてを受け止めてみせよう。 高らかに宣言する。 「私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、この『物』を使い魔と認め、契約します。」 一息で言い切る。 コルベールは一言「分かりました」とだけ言った。 タバサは黙ってルイズを見つめている。 何か思うところがあるのだろうか。 一方のキュルケは、予想外の展開に目を見開いた。 (ルイズ、あんた、決めるときは決めるじゃない) 自然と頬がゆるむ。 やはり彼女は私のライバルにふさわしい……感心しつつそう思いながらも 一方で不安も覚えた。 今ルイズが契約すると言ったアレ…… アレはまさに未確認生物だ。 今はおとなしく死んでいる(?)が、契約を交わした瞬間何が起きるか皆目分からない。 契約の瞬間は、メイジがもっとも無防備になる瞬間でもある。 ルイズの身に何か起こったときは自分が……そう心に決めつつ、キュルケは、堂々とした足取りで死体に近づくルイズを見守った。 ルイズはどうやらあの割られたスイカみたいな頭部の唇にキスをする事に決めたようだ。 案外ロマンチストなようだが、割られたスイカは唇部分もほぼ真っ二つになっているので、それに向かって少女が唇を近づける様は、第三者から見るとかなりシュールだった。 ぶっちゃけ気持ち悪い。ルイズは、スイカ頭を見ないように目を瞑ってその形の整った唇を近づけていく。 そして、運命の時―――――― 2へ 戻る 4へ
https://w.atwiki.jp/kosoku/pages/34.html
◎ 高速道路料金キャッシュバック、ガソリン値引きなど 今回の旅行に間に合わなくても、また次使う機会がくるはずです☆ ぜひこの機会に申し込んではいかがでしょうか。 1日でも早いほどお得です★ ○高速道路料金をキャッシュバック ガソリン&高速料金が最大30%キャッシュバック! ●JCBドライバーズカード ○ガソリン代金をキャッシュバック 長距離運転が多くてガソリン給油が多い方におすすめキャッシュバック! ●エネオスカードC ○高速料金、ガソリンでポイントが貯まる 年会費無料&ポイント還元タイプなら ●エネオスカードS ●コスモ・ザ・カード・オーパス ○高速料金、ガソリンで高率ポイント! 高率ポイント還元タイプなら ●エネオスカードP
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2502.html
ルイズは自分のベッドへ行き二時間眠った。そして…目をさましてからしばらくして 使い魔が逃げ出したことを思い出し…… ………泣いた…… おれは使い魔になるぞジョジョーッ!第三話 ディオがルイズの部屋に入ると昨日散乱した下着がそのまま散らかっていた。どうやらあの後ルイズはそのまま寝てしまったらしい。 まだ朝は早い。使い魔として信頼を得る為ならば心底嫌だが掃除、洗濯くらいはやってやらなければいけないだろう。 日の光を浴びて小川はきらきらと輝いてまるでダイヤモンドが流れているようである。 ディオは洗濯場らしき場所を見つけると腰を下ろし、洗濯を始めた。 ディオ・ブランドーといえば常に上に立ちながら都合よく部下を使っていた印象が強い。 だがディオはジョースター家に養子として入る以前、具体的には母が死んでから父を殺害するまでの間、 家事の一切を切り盛りしていたのである。 故に洗濯も一通りこなせるのだが、それは同時にダリオとの辛い生活を思い出す事でもあった。 よってディオは早々に「この洗濯、昔の生活を思い出すッ!」と不機嫌になると、下着の端をつまんで小川の流れに暫く浸すだけにした。 「それじゃあ汚れは取れませんよ」 気がつくと後ろにメイドが立っていた。その笑顔はディオに一瞬だけ遠い昔、元気であった頃の母の笑顔を思い起こさせた。 「君は誰だい?見たところこの学院のメイドのようだが」 「私はシエスタと申します。あなたはミス・ヴァリエールが召喚した平民の方ですね?」 「ああ。ぼくはディオ・ブランドーだ。よろしく」 どうやらゼロのルイズが平民を使い魔にしたという噂はあっという間に校内に広がったらしい。 「それよりディオさん。そんな方法じゃちゃんと綺麗になりませんよ。」 と言うとシエスタはディオの籠を手に取り、慣れた手つきで洗いはじめ、あっという間に洗濯を終えた。 「ふぅ、できました。」 笑顔で洗濯済みの籠を渡すシエスタ。 「すまないね。ぼくは女物の下着を洗った事がなくてね、どうしたらいいのかわからなかったんだ」 そう言うとシエスタは今更ながら女物の下着を洗っているディオを思い出して赤面する。 「でっでもっ酷いですよね!他の方は使い魔がいても自分で掃除も洗濯もするのに…」 やはりルイズはおれを奴隷かなにかと勘違いしていたようだ。怒りの感情が込み上げてくる。 「…。」 気が付いたらシエスタが少し引いていた。気付かないうちによほど凄い顔をしていたらしい。この感情がすぐ顔にでるのもなんとかしないとな。 「あの…」 やがてシエスタは怖ず怖ずと提案をした。 「よかったらこれからは私が洗濯しましょうか?」 「本当かい?しかし君も忙しいだろう。大丈夫かい?」 「はい。あの程度の洗濯ならすぐに終わりますから♪」 フフ…この言葉を待っていたぞッ!人が困っていれば手助けしてしまうようなお節介野郎めッ! 「ありがとう、ミス・シエスタ」 「そ…そんな…ミスだなんて…///ただのシエスタでいいですよ」 「でもそれじゃあぼくの気がすまないな」 「いいんですよ、困った時はお互い様です」 「ありがとう、いつかお礼をするよ」 そういうとシエスタに背中を向けて部屋に戻るディオ。その顔つきはまさに『計画通り!』とでも形容できるような表情だった。 ディオにとってシエスタは都合よく動く駒の一つを見つけたぐらいでしかなかったのだろうか…。 to be conthinued…
https://w.atwiki.jp/doner/pages/14.html
戻る クラスとは どうやって使うの? 実際にやってみる クラスとオブジェクトオブジェクトの生成 メンバにアクセスする 動的なオブジェクトの生成 メンバへのアクセスの制限privateメンバ publicメンバ カプセル化 コンストラクタコンストラクタの定義 デストラクタデストラクタの必要性 デストラクタの定義 クラスとは クラスとはC++やjava、Rubyなどのオブジェクト指向言語にとって重要なものです ではどんなものでしょうか? 「関数の入る列挙体」「1つのメイン関数みたいなもの」など、各言語によって 使い方に多少の違いがありますが、一番分かりやすいものとしては モノの性質や、それに関わる機能をまとめたもの と言えます どうやって使うの? とある参考書の受け売りですが、例えば車を想像して下さい 車には「ガソリンの残量」「ナンバー」などのデータ(=性質)を持っています また「ガソリンを入れる」「ナンバーを決める」「それらを表示する」などの動作(=機能)も必要です それらの性質や機能をクラスとしてまとめるには、次のようなコードを記述します class 車{ ナンバー; ガソリン量; ナンバーを決める; ガソリンを入れる; ナンバーとガソリン量を表示する; } 広義的なクラスの宣言は、次のようにします class クラス名{ アクセス指定子 変数の宣言; ・・・ 関数の宣言; ・・・ }; クラスの場合、変数を「データメンバ」、関数を「メンバ関数」と呼びます しかしこのままだと、メンバ関数の処理が定義されていないので実行できません よって、メンバ関数の本体はクラスの外側で定義します 戻り値の型 クラス名 メンバ関数名(引数) { ・・・ } クラス名の後ろにある「::」はスコープ解決演算子といいます これを使って、メンバがどのクラスのメンバ関数であるのかを指定します 実際にやってみる 先ほどの車の例を使って、「Car(車)」クラスを宣言します class Car{ public int num; double gas; void show(); }; void Car show() { printf("車のナンバーは%d、ガソリン量は%fです\n", num, gas); } 本来C++ではprintfは使わないのですが、分かりやすいよう敢て使っています このCarクラスは、次のようなデータメンバとメンバ関数を持っています データメンバ 説明 num ナンバーを格納する変数 gas ガソリン量を格納する変数 メンバ関数 説明 show() ナンバーとガソリン量を出力する関数 クラスとオブジェクト オブジェクトの生成 クラスを宣言しただけでは、車は生成されません 言ってしまえば、クラスは車の「設計図」みたいなものです なので、クラスを使って「現物」の車を生成しなければなりません Car car1; 「Carクラスの値」を記憶できる変数car1を宣言します 言い換えれば「Carクラスを元に、車car1を作った」ことになります この出来上がった車(=変数)のことをオブジェクトと言います 一般にオブジェクト生成は次のように行います クラス名 変数名; メンバにアクセスする 車は生成されましたが、ナンバーもガソリンも無い状態では車は走れません (豆知識:私有地の道路(私道)ではナンバーが無くても法律上問題ないそうです) 「ナンバー」「ガソリン」を入力して、初めて車として機能します それではまず、car1にナンバーを付けてガソリンを入れましょう car1.num = 1234; car1.gas = 25.5; 構造体と同じようにドット演算子(.)を使ってメンバにアクセスします これと同じようにしてメンバ関数にもアクセス出来ます car1.show(); 動的なオブジェクトの生成 ポインタを使った動的なオブジェクトの生成は、new演算子を使います Car* pCar; pCar = new Car; pCar- num = 1234; pCar- gas = 25.5; delete pCar; 動的に確保したメモリのアドレスを、ポインタpCarに格納します そしてdelete演算子で動的メモリを開放します なお、ポインタからメンバにアクセスする場合、構造体と同じようにアロー演算子(- )を使います メンバへのアクセスの制限 privateメンバ メンバへのアクセス方法を紹介しましたが、これでは問題が起こる場合があります 「ナンバーの偽装」や「ガソリンの盗難」など、世知辛い世の中です なので、クラスの外から勝手にアクセスできないメンバにするわけです class Car{ private int num; double gas; ・・・ }; アクセス指定子をprivateにすると、その下のメンバは全てクラスの外からアクセス出来なくなります アクセス指定子は省略すると、全てprivateメンバになります publicメンバ ナンバーの偽装やガソリンの盗難は防げましたが、アクセスが出来なくなってしまったので このままではナンバーの変更も給油も儘なりません そこで使うのがpublicメンバです class Car{ private int num; double gas; public void show(); void setNumGas(); }; void Car show() { printf("車のナンバーは%d、ガソリン量は%fです\n", num, gas); } void Car setNumGas() { int n; double g; scanf("%d", n); scanf("%f", g); num = n; gas = g; } publicメンバにすることで、クラスの外からでもメンバにアクセス出来ます publicなメンバ関数を通して、privateメンバを変更することも出来ます カプセル化 上の2つのように、クラスの中にデータ(データメンバ)と機能(メンバ関数)をひとまとめにし、 保護したいメンバにprivateをつけてアクセス制限する機能をカプセル化といいます 一般的には データメンバ → privateメンバ メンバ関数 → publicメンバ と指定します コンストラクタ コンストラクタの定義 出来ればすぐ乗れるように、ナンバーもガソリンも全部揃った状態で購入したいものですね そこでコンストラクタを定義します class Car{ privatent num; double gas; public Car(); void show(); }; void Car show() { printf("車のナンバーは%d、ガソリン量は%fです\n", num, gas); } Car Car() { num = 1234; gas = 20.0; printf("車を作成しました\n"); } コンストラクタを定義すると、オブジェクトが生成された直後に定義された コンストラクタが自動的に呼び出されます これで車の完成と同時に、ナンバーとガソリンが与えられます なお、一般的にコンストラクタの定義は次のように行います クラス名 クラス名(引数) (注)コンストラクタは必ず、クラス名を関数名にします また、戻り値を持たず型の宣言も必要ありません デストラクタ デストラクタの必要性 デストラクタはコンストラクタとは逆で、オブジェクトを破棄する際に自動的に呼び出される関数です では、何故呼び出す必要があるのでしょうか? 例えば、オブジェクトを動的に確保した場合、そのままオブジェクトを破棄すると メモリが開放されずに残ってしまいます そこでdelete演算子をデストラクタに入れて定義すると、 オブジェクトの破棄と同時にメモリを開放することが出来るわけです デストラクタの定義 デストラクタの定義は、コンストラクタの定義によく似ています クラス名 ~クラス名() コンストラクタと違うのは、スコープ解決演算子の後ろに~(チルダ)を付けます
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1968.html
相手の船が貨物船に近接し、相手の船員が乗り込んでくる。 「空賊だ!抵抗するな!…おや、貴族の客まで乗せてるのか」 ルイズたちを下品に舐めるように見る。 「こりゃあ別嬪だ、どうだい、俺らの船で皿洗いでもやらねえか?」 男は下品に笑う。 「下がりなさい、下郎」 「驚いた、下郎ときたもんだ!」 男は大きくのけぞって笑う。 「おいてめえら、こいつらも運びな、身代金もたんまり貰えるだろうさ」 数人の男が無言で武器を奪い取り、船倉に押し込まれる。 「やれやれ、空賊に襲われるとはついてないな」 ワルドが呟く。 貨物船の船員たちと一緒に狭い部屋に詰め込まれた一行。 「急いでるのに…」 貨物船の船長がガハハと笑う。 「おい、娘ちゃんたち、あんたらも急ぎなのかい?」 「ええ、そうよ」 「だとよ、野郎ども。このバカな空賊どもは俺らの船に乗り込んだつもりらしいが…」 船長は口の中から工具を吐き出し、右手の義手を器用に外す。その義手の中から拳銃が出てくる。 「俺らをわざわざ案内して乗り込まれたってことを教えてやろうじゃねーか!」 船員が歓声をあげる。 一行はポカンと口をあける。 ダービーはトランプをいじって、特に興味は示していない。 船員が工具を受け取り、扉の鍵をこじ開けようとすると、ワムウが横に立ち、扉を蹴り飛ばす。 「な、貴様ら何を…」 ワムウが頭部に一撃を加え、見張りの男二人は一瞬で床に沈む。 「兄さんもやるねえ!」 船員が笑い、倒れた見張りの男の道具を拾い上げる。 「野郎ども!まずは武器庫を襲うぞ!この型の軍船ならおそらく甲板の直下部あたりにあるはずだ!」 船長が船員を率いて、走り出す。 ワムウたちもそれに続く。 「脱走だァーーッ!奴らの脱走だ!」 脱走に気づいた空賊員が叫び、直後に船長に撃たれる。 走りながらワムウが船長に尋ねる。 「船長室はどこだ?」 「なんでそんなこと尋ねるんでい、お兄さん?たぶんそこの階段をあがって大広間を片っ端から探せば見つかると思うが」 「頭を潰してくるのが手っ取り早いだろう」 ワムウは進路を変え、階段を上がっていく。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよワムウッ!」 ルイズが追いかけようとするがワルドが制する。 「君は杖も無い、足手まといになるだけだ。彼なら空賊くらい敵じゃあないはずだ」 ワルドはスピードを元に戻し、ルイズの手を引きながら船長を追いかける。 船員は武器庫とプレートのある部屋の扉を蹴破る。 中に居る空賊は驚いて銃を向けるが、その引き金を引くよりも早く銃弾が空賊の肩を貫く。 「野郎ども、杖と武器を片っ端から集めろ!」 船長は銃で撃たれた空賊の襟首をつかみ、拘束しようとして相手の顔をまじまじとみる。 「お、おめー…アルビオンの兵士になったんじゃねーのか!シャチ!」 「…ってことは…貴方たちは王党派なのね?」 船長の息子であったその兵士は空賊に扮した王党派だということを話し、彼らは一息つく。 が、ルイズだけは一息をつけなかった。 わなわなと震え、その兵士に詰め寄る。 「あの筋肉バカを止めてこないとッ!船長室はどこなの!?」 「え、えっとここが地下ですから…階段を二つあがったフロアの奥に居るはずです」 「わかったわ、ありがとうね!」 ルイズは感謝の言葉もそこそこに、杖をひっつかんで部屋から駆け出す。 ルイズは船長室に行くまでにかなりの人間に会うことになり、一々説明することになると思ったのだがそんなことはなかった。 通路の兵士は倒れ、武器を折られ、呻き声を漏らし、積み上げられていた。 「何なんだあいつは…」 「助けてくれ…助けてくれ…化け物だ、畜生…」 「ザミエル…ザミエル…ザミエル…」 「落ち着いて素数を数えるんだ…」 日ごろの『教育』の成果かどうかはわからないが、とりあえず死者は見当たらなかった。 もっとも、ルイズはワムウが相手を見当たらないようにできることなどは百も承知であった。 おそらく船長室の真下に来たであろう、船の上からは叫び声が聞こえ、床が何度もきしむ。 「しょうがないわね、弁償代はワムウ持ちよ!」 ルイズは上に杖を振り上げ、船の天井を吹っ飛ばす。 いきなり大穴が空き驚いたのか、ワムウが上から覗き込んでくる。 「どうした、ルイズ」 「どうしたもこうしたもないわよ!その人たちは敵じゃないからやめなさい!」 ルイズの心からの叫びであった。 「ハハハ、間一髪助かったよ」 アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーは、気にしなかったように笑う。 「彼があと10人アルビオンにいたら、貴族派に負けていたことはなかっただろうね」 「ほ、本当にすみませんでした!」 ルイズが平謝りする。 「ほら、ワムウあんたも謝るのよ!」 「いや、いいんだ、試すためとはいえ、空賊などと名乗ったんだから反撃されるのは当然だ。 あの戦い振りは驚嘆に値するよ、君の使い魔だけでなく、君の父上もね」 皇太子は近衛兵であったシャチに声をかける。 「ま、誠にすみません!」 若い兵士は地面に手をつける。 「いいといっているんだ、それより君の傷は大丈夫かね?」 「はっ!数日のうちには完治すると思います!」 「そうか、では大事にな」 「失礼しました」 彼を見送った後、ウェールズはこちらに目を向ける。 「それで、トリステイン大使殿はどういったご用件かね?」 「アンリエッタ姫殿下より、密書を言付かって参りました」 ワルドが頭を下げる。 「ふむ、それで君たちは?」 「僕はトリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵と申します。そしてこちらが 姫殿下より大使の大任をおおせつかった、ラ・ヴァリエール嬢とその使い魔、そして友人たちです」 「なるほど、してその密書とやらは?」 ルイズはポケットの裏側を切り裂き、縫いこんだ密書を取り出し、一礼してウェールズ皇太子に渡す。 皇太子は真剣な面持ちで手紙を読み進め、途中で顔を上げる。 「姫は結婚するのか?あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い…従妹は」 ワルドが無言で頭を下げ肯定する。 皇太子は最後の一行まで丹念に読み終えると、こちらに微笑んだ。 「了解した。姫はある手紙を返して欲しいということなのだな、そのようにしよう。 しかしながら、今その手紙はニューカッスルの城にあるのだ。多少面倒だが、ニューカッスル城までご足労願いたい。 シャチ、『イーグル』号の案内を頼む」 『イーグル』号は大きく迂回し雲の中を慎重に抜けていく。 ウェールズは向かうべき城の正面から砲撃を行う巨大な船を忌々しげに見つめる。 「あれが貴族派の艦?」 ルイズはシャチに尋ねる。 「ええ、かつての我々のアルビオンズ第一艦隊旗艦、『ロイヤル・ソヴリン』号です。 もっとも、奴らは我々を最初に破った地、『レキシントン』号と呼んでいますがね」 「そう、あの艦の反乱から全てが始まった、我々にとっては悪夢のような艦さ。『レヴァイアサン』号も 『ドレッドノート』号も奪われ、『ヴィクトリー』号は大破。残った船はこの『イーグル』号だけさ」 ウェールズ皇太子が話に割り込んできた。 「この『イーグル』号ではあの艦と殴り合いなどはとうてい不可能さ、だからこうして空賊に扮してこそこそと 通商破壊をするしかなかった。もっとも焼け石に水だがね。だからこうして雲中を通り、 大陸下からニューカッスルに近づく。そこに我々しか知らない隠し港があるわけだ」 艦はアルビオン大陸の下に入り込み、光がささなくなる。 シャチによれば薄々大陸の下に我々の隠し港があることは気づいているということだが、 視界もない大陸の下で座礁や衝突、同士討ちや奇襲の危険を犯すことを考えているのか、 それともこの程度の艦が一隻あったところでどうということはないと考えているのか、あるいはその両方か。 兎にも角にも、この隠し港だけは攻撃を受けていないということであった。 暫くの航海の後、真上に直径三百メイルほどの穴が空いている場所にでる。 「一時停止」 「一時停止、アイ・サー」 「3ノントで上昇」 「3ノントで上昇、アイ・サー」 ほぼ同じ速度でアルビオン兵士が乗り込んでいる貨物船も追従する。 「まるで空賊ですな、殿下」 「まさに空賊なのだよ、子爵」 岸壁に接岸した艦からルイズ達は降りると、背の高い年老いたメイジが近づいてくる。 「ほほ、これはまた、大した成果ですな。殿下」 「喜べ、パリー。硫黄だ、硫黄!」 ウェールズの言葉に集まった兵士が歓声をあげる。 「おお、硫黄ですと!これで我々の名誉も守れるというものですな! 先の陛下よりお仕して六十年、こんな嬉しい日はありませぬぞ、殿下!」 泣き崩れならが笑う臣下にウェールズも応じて笑う。 「ああ、これで王家の誇りを叛徒どもに示しつつ、名誉の敗北をすることができるだろう」 「栄光ある敗北ですな、この老骨、久々に武者震いをいたしますぞ。して、ご報告なのですがその叛徒どもは 明日の正午に城攻めを開始するとの旨伝えてきました。殿下が間に合ってよかったですわい」 「そうか、間一髪とはこのことだな!」 一しきり笑いあったあと、パリーは一行に顔を向ける。 「して、その方たちは?」 「トリステインからの大使達だ。重要な用件で、王国にお見えになられたのだ」 パリーはなるほどといった顔つきで頷き、こちらに微笑む。 「これはこれは大使殿、私めは殿下の侍従を仰せつかっておりますパリーでございます。 遠路はるばるようこそ、このアルビオン王国へ。この有様で大したもてなしはできませぬが、 今夜ささやかな祝宴が催されますゆえ、ぜひとも出席くださいませ」 こうして、老メイジは頭を下げ、去っていった。 「では、ついて来たまえ、僕の部屋に案内しよう」 To be continued.